人民新聞

新体制発足にあたって
- 私の抱負

本紙の継続は日本社会運動の厚みの表れ
さらなる発展を

園 良太

私は関東で社会運動を続けていましたが、2016年末に3.11原発事故の放射能被ばくから大阪へ避難。2017年初頭から本紙で働き始めて社会運動もしてきました。団塊世代前後が中心の本紙を支えてきた人々と、本欄の新体制の人々の両方と接してきたことになります。だからこそ、本紙の継続・発展を強く主張し動きました。歴史の深さと新たな可能性が結実してこそ、良い運動が生まれるからと。これだけ若手~中堅世代の活動者たちが集まっているのだからと。
その後は、めまいなどの体調不良で寝込むなど、個人的に辛い時期も続きました。しかし本紙との関わりにより社会運動との繋がりが維持され、自分を保てました。
その上で、退いた元編集部員らは、今も制作面や、彼らの後継者と本紙の関係が引き継がれることに協力をくれています。一気に世代交代した新体制は、前体制の反省点も活かしながら、より対等な関係性や無理のないあり方を作ろうとしています。
また、新たな著者の新鮮な文章が増えています。従来の著者も変わらず鋭い原稿を下さっています。HPトップ画像の24年新年号が象徴で、連帯を強めたいと思います。
各地の集会に行くと、読者から購読費を直接渡されます。カンパのお願い電話をすると、創刊からの読者からも激励されます。本紙は日本社会運動の厚みを表しています。継続して本当に良かったし、さらなる発展が求められています。
資本主義や国家主義の矛盾が極まっています。強力な対抗メディアや運動が必要で、本紙単独ではなく多くの市民媒体が手を取り合わなければ作れません。広い視野を持ち、皆さんとそれを目指したいです。

情報過多の現代こそ、
本質を見つめる新聞を

河住 和美

私は、戦後の沖縄が日本に併合された1972年に生まれた。そのことを、どこかで運命的に感じながら、私は育った。子供の頃は、公害が全国的な問題となった「典子は今」というドキュメンタリー映画が放映され、報道番組で公害問題の特集もあった。
私たち世代は、時代の変わり目を間近に見てきた。急速なIT化や価値観の変化。昔は仕事帰りのサラリーマンがスナックで歌っていたカラオケは、今や若者文化になった。電車に乗ると、8割ぐらいの人はスマホを見ていて、ゾッとすることもある。だが、昭和、平成、令和の加速度的な時流についていけず、今の私は引きこもり気味だ。
そういう中で、新聞を含めたメディアは何ができるのだろう?最新の情報は、ツイッターやフェイスブックでいくらでも流れてくる。ネットのハッシュタグが、検察庁法改悪を廃案に追い込むことができると、誰が予想しただろう?世論は今やネットの中にある。一方でネットについていけなくなった高齢者は置き去りにされ、情報を取れずにいる。政治家や著名人と称する人々が発信する情報がネットを駆け巡り、攻撃対象になることもある。
人民新聞の役割とは何か?じっと考え続けている。今、維新の政治から主権を取り戻す闘いが関西各所で起こっている。だが、議会構成や条例制定で先手を取った維新を崩せる手立てはなかなかない。やりたい放題の場当たり的政策を表立って止めた都構想は、大阪の多くの運動体や個人が繋がって、必死に闘った結果だった。
今後も、多くの運動体が手をとって大きなうねりを作らねば、維新に勝つことは難しい。
人民新聞は、多くの運動体をつなぐ「カオス」のような場所でありたい。また、私たち独自の視点で本質を見つめるものを創り上げていきたい。情報過多の時代だからこそ、本当に大切なものを伝え続ける新聞でありたいと思う。

不当に抑圧された人々の声を伝える

朴 偕泰

数年前、コロナ対策についての申し入れで大阪府庁へ行きました。PCR検査の数を増やすことや、医療従事者への手当ての拡充などを求めて行いました。その時吉村知事はいませんでしたが、本人に確実に渡してほしかったので秘書室での要望書の提出を求めました。しかし府庁の職員たちは秘書室に提出されることによって知事の責任になるのを恐れ徹底して拒みました。別の会議室を用意したからそこで話を聞くとも言われました。
そこでお互い譲らないこう着状態になりました。警備員も来て知事室の入り口の前に立ち、私たちの入室を防ぐ壁となりました。何時間経っても状況は変わりません。職員との大声での言い合いがずっと行われて、私は疲弊していきました。
日も沈み府庁の退館時間になりました。職員は「退館お願いしまーす!」と大きな声で何度も言っています。私は警察を呼ばれるのではないかと思いドキドキしていました。役所への申し入れを発信していたツイッターアカウントで現場の状況を随時報告していましたが、いいねもRTもそんなに多くはつきません。私としては危機的な状況に感じているのですが、それを誰も見てくれていないのではないかと感じ心細くなりました。結局その日はそこで撤収することになりましたが、私の中でこの経験が強烈に刻み込まれました。私の体験など些細なものでしかないとは思いますが、同じように自分の苦しみを知って欲しいと願う人がいるのではないかと考えるようになったのです。
半年ほど前に収容されている方のお話を聞きに大阪入管へ行きました。すると面会した方から「私のことを記事に書いてください」と強くお願いされました。今の自分の不当な収容状況を知らせてほしいと言うのです。その時に、小さくともメディアを持つ自分がすべきことについて痛いほど考えさせられました。
世界ではほんとうに多くの人が、私の想像力では覆いきれないほどの多くの理由で不当に抑圧されています。そして、世界のほとんどの人はそれを知らずにいます。私は報道の力を使い、みんなの苦しみをみんなで分かち合いたいと思っています。もちろん解決できるのが一番ですが、誰かが知ってくれているという事実だけで人の心は軽くなるものです。
以上が、私の考える「人民新聞を通してやりたいこと」です。

廃刊すると私自身が困る

吉田 せいじ

人民新聞が廃刊すると、今後ゆるゆると生きていける世界が萎んでしまうと感じ、新編集部に参加しました。また、編集部は地理的に近く、私にとって住んでいる地域の活動です。
人民新聞のようなメディアが廃刊してしまうと、記事を読み問題を共有する仲間が減ります。この世界に起こっていることに疑問を持ち、抗い生き方を創造していく仲間が減ります。それは私自身非常に困ります。
私は記事が書けるとか、何ができるとかは新聞活動に関わった事がないので分かりません。ですが新聞発送をするなど小さなことでも良いので、関わっていこうと思います。

京阪神の住民運動記事と
フェミニズムの観点を

サパタ

人民新聞の廃刊議論が持ち上がった時に、メディア運動がこれまで以上に必要とされている現代に、まだ多くの読者に支えられている人民新聞を廃刊させるのは本当にもったいないと思い、新編集部に参加しました。財政状況を考えて現在のところ報酬は期待しておらず、完全にボランティアで参加しています。
事務所がある関西(北摂・京阪神など)の住民運動に関する記事を重点的に集めたいと考えています。地域から住民主権・自治を生み出すために、ありとあらゆる方法をとりながら必死に苦闘する現場にこそ、この世界の変革のヒントがあると思います。北陸新幹線・リニア新幹線の反対運動や釜ヶ崎の再開発問題などをこれから取材する予定です。
もう一つはフェミニズムの観点を人民新聞に導入することが必要だと考えています。フェミニストでないメディア運動は存在意義がないと思って、緊張感を持って議論していきたいと思います。
また留学経験からスペイン語が読めるため、スペイン語圏の社会運動の議論を積極的に紹介します。そのほか、財政担当として、財政基盤の拡充や動画などのWEB展開なども支援していきます。

新聞発行で運動の可能性をひらきたい

永井 伸和

昨年の秋ごろ、編集部にいる友人から人民新聞が廃刊の危機にあることを聞き、「なんとか体制を一新して存続させたいので、協力していっしょにやらないか」と誘われました。私は入管と非正規滞在外国人の人権にかかわる運動に取り組んでいますが、ときおり寄稿したり取材を受けたり、というかたちで人民新聞とのつきあいがありました。そのなかで、人民新聞が地域の社会運動をつなぐ役割をはたしているのをみてきたので、廃刊してしまうのはあまりに惜しいと思い、誘いに応じることにしました。
「社会運動」という言葉をいま使いましたが、社会問題としてすでに認知されている問題に取り組むものだけが運動ではないし、組織化されたものだけが運動でもありません。生きることの困難な状況の中で生きようとする意思そのものが運動なのだと思っています。
運動同士が出会い、たがいに学びあい、たがいの持つ力を引き出しあう、あるいは連携・連帯できる。新聞の発行を通じてそうした可能性をひらいていくことに、読者や執筆者、協力者のみなさんともいっしょに取り組んでいきたいです。

自分の足元を記事化していく

高橋 淳敏

ネットやSNSの発達により、情報は映像でも即時世界中に伝えられるようになった。私たちは今、なぜ比較的遅くて手間や費用もかかり、「環境に悪い」と言われてもおかしくない、新聞という古い媒体を求めるのか。私なりに自答すれば、それは新聞記事を作る過程こそが喜びなのであり、その共同作業が目的なのだ、と答える他ない。これは労働というよりは運動だ。
どこかの党を持ち上げたり、貶めることが結果としてはあっても、それが目的なのではない。新聞メディア運動であり、私たちの生活の一部としてのサークル活動である。できた記事は、その作業と家庭の結果であり、虚飾はせず、ありのままを見ていただくのが良い。そこで、読者とも活字だけではない交流が生まれ、読み手と書き手は混在となるはずだ。そしてまた私たちの作業は始まり、新しい記事が作品として生まれる。
大手マスメディア労働は、自らの生活を蔑ろにしてきている。私は自分の足元を記事にしていくとともに、読者としてあることも忘れずにいられればと思います。ぷりずむでは(A)として、沖縄変換50年特集記事など担当し始めました。

紙面だけでなく映像・音声メディアも

安藤 歴

今やSNSが普及し、リアルタイムでの情報を簡単に手に入れることができるようになりました。情報おそれ自体の価値は下がり、読んで、スクロールして、過ぎ去って、忘れ去られてしまう。
情報メディアに求められるのは、単に今の情報を伝えることだけでなく、「忘れてはならないのに忘れられてしまうこと」に光を当て続けることであると思います。それが、誰の、誰に向けられた、どんな声なのかを、自分の置かれた立場を振り返りながら取り上げていきたいです。
また、新聞誌面だけでなく、映像・音声メディアなども念頭において、声をあげた人自身が直接に語り訴えかけることができるような仕組みやルールを作ることにも、微力ながら貢献していきたいです。

人民新聞編集部は2022年4月より世代交代し、新体制による新聞発行に変わりました。 非常に低予算からの出発となるため、カンパや「新体制基金」へご協力下さい。 また発送費用の削減のため、PDF購読への切り替えもご検討ください。 よろしくお願いします。

カンパ、購読料の振込先

金融機関名
PayPay銀行
支店コード
005
支店名
ビジネス営業部
口座種別
普通
口座番号
6259737
口座名義人
ユウクミジンミンシンブンシャ